第2回リスクアセスメントの事例と手順
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2026年7月28日更新
株式会社東和コーポレーション
前回のニュースレターでは、「リスクアセスメント」の基本的な考え方や必要性についてご紹介しました。今回はもう一歩踏み込み、「実際の事故」と「防ぐための具体策」に焦点を当てて紹介します。
「慣れているから大丈夫」「今まで事故がなかったから問題ない」ーー現場では、このような“慣れ”や“思い込み”による油断が事故の引き金になることがあります。
令和7年の休業4日以上の死傷災害人数を見ると、転倒や転落、動作の反動・無理な動作など(荷物の持ち上げなど)といった、身近な作業の中で発生している災害が多くを占めています。

※厚生労働省労働災害発生状況より編集
一見すると「少し気を付ければ防げそう」と感じる事故でも、わずかな気の緩みや確認不足が重大な災害につながるケースは少なくありません。脚立の使用や荷物の運搬、設備点検といった“いつもの作業”の中にも危険は潜んでいます。
このように、労働災害は事故発生時だけの問題ではなく、粉じんや化学物質などの影響によって数年後に健康被害や疾病として表面化するケースもあります。
さらに、健康被害は特別に危険な作業だけで起こるものではありません。繰り返し行う作業の中で、気づかないうちにリスクが蓄積している場合もあります。 慣れている作業ほど注意力が低下しやすいため、一つひとつの工程に潜むリスクを再確認し、継続して安全意識を持つことが重要です。 だからこそ重要となるのが「リスクアセスメント」です。 実際の作業を例にしながら、リスクアセスメントの基本的な手順について確認していきましょう。
リスクアセスメントとは、「どこに危険があるのか」「その危険がどれくらい大きいのか」を事前に確認し、対策を考える活動です。リスクアセスメントには管理体制の整備を前提とし、以下のような基本手順があります。

この基本手順に沿って、製造業を例にリスクアセスメントを行ってみましょう。
作業を洗い出した上で、各作業における危険性又は有害性を特定します。
※危険性、有害性とは災害発生の可能性のある場所や作業方法等、労働者の健康に悪い影響を及ぼす可能性のある要因のことです。
■作業内容 作業者が機械へ原料を投入する
■想定される危険 原料投入時に、回転部や攪拌部へ腕が巻き込まれる
■発生する恐れのある災害 腕や手指の挫傷、骨折、切断、重篤災害
有害性、危険性の特定を行う場合は、次に留意します。
①対象作業取扱いマニュアルや作業手順書を用意しましょう。
(それらがない場合は、作業の概要を書き出しましょう。)
②対象作業を分かりやすい単位で区分しましょう。
③日常の仕事とは違う目、すなわち危険がないかという目で、現場を観察してみましょう。
(過去に起こった災害は、そんなこと起きるわけがないと思われるような災害が多いものです。)
④機械や設備は故障しますし、人はミスを犯すということを前提に作業現場を観察してみましょう。
⑤危険性又は有害性の特定に当たっては、これによって発生する災害について、次の「リスクの見積り」を適切に行うため、労働災害に至る流れを想定して「~なので、~して、~になる」という形で書き出すことが大切です。
洗い出した危険性、有害性について、「事故が発生する可能性(頻度)」と「発生した場合の重篤性(負傷、疾病の大きさ)」からリスクレベルを判断します。
今回は2つの要素の組合せで見積もる「見積表(マトリクス方式)」を使用して判断基準を明確にする方法を紹介します。
■腕が巻き込まれる可能性 可能性ある
■巻き込まれたときの重篤性 重大
■リスクの見積もりⅢ(重大なリスクがある)

リスクレベルの見積表は次の内容で作成します。
①重篤度(被害=負傷、疾病の大きさ)の区分
特定された危険源により生ずるおそれのある負傷又は疾病の重篤度を区分します。区分は〇△✕で行います。
②事故が発生する可能性(頻度)の区分
特定された危険源により発生する可能性の度合いを区分します。区分は〇△✕で行います。
③リスクの見積り
決定された「重篤度の区分」と「可能性の区分」をもとにリスクレベルを判断します。
例えば、発生の可能性が低くても重篤度が重大である場合は、速やかにリスク低減対策を講じることが必要となります。
特に①で想定される被害の大きさは、最も深刻な結果を見積もることが重要で、具体的には下記のような基準があります。

リスクの見積もり結果をもとに法令に定められた事項がある場合には、それを必ず実施するとともに、リスクの高いものから優先的に検討を行います。
【例】

また、改善策は4つに分類され、その検討・実施にあたっての安全衛生対策の優先順位は以下の通りです。
1.本質的対策(危険作業の廃止・変更等、設計計画段階からの危険性・有害性の除去・低減)
2.工学的対策(設備対策)
3.管理的対策(作業手順の作成や教育等)
4.個人用保護具の使用
リスク低減措置の原則は、まず根本から危険作業をなくしたり、身体への有害性を見直したりすることでリスクを減らし、本質的な安全化を検討することです。それらが難しい場合は工学的対策を検討し、さらに管理的対策を検討します。個人用保護具は最後の対策です。
検討した改善策を実際に作業現場へ導入し、確実に実施します。また、作業者へ対策内容を周知し安全に作業できることが重要です。
実施した改善策について、「本当に安全が向上したか」「新たな危険が発生していないか」を定期的に確認し、必要に応じて改善を行います。
・安全カバーを設置後、作業手順や危険個所を再確認する
・作業前ミーティングや教育でルールを周知する
このようにリスクアセスメントは、事故が起きてから対応するのではなく、「事故が起こる前に危険を見つけ、対策を行う」ための取り組みです。継続的に実施することで、労働災害や健康被害の防止に繋がります。
株式会社東和コーポレーションでは、作業用手袋メーカーとして、作業現場の安全性向上に貢献する情報発信や製品開発を通じて、安全な作業環境づくりを支援して参ります。
今後も、現場の安全向上につながる情報提供を継続していく予定です。
